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LGBTの私たちはピンクリボンと一緒に生きている

〜 オッパイを気にしてあげて下さい もう一つのLiving Together 〜

MTFの内田は、自分を男としてしか扱ってくれない地元を離れこの町へ出てきた。

以前の自分を知る者がいない都会の暮らしで、内田は化粧をして、女性としての生活を満喫していた。元々小柄で華奢な体型だったことと、10代という成長期に女性ホルモンを飲み始めたお陰で、肌の滑らかさが際立っていた。 その上、同じ悩みを抱える仲間から紹介されたクリニックで、Aカップほどの豊胸手術をしていたため、誰一人として内田を「数年前まで男として生きていた」と疑う者はいなかった。

ある時、内田の友人女性に初期の乳がんが見つかり、手術をして退院してきた。

内田 「ヒロミ、退院できて良かったね。胸は痛くない?」

友人 「自分でも乳がんチェックしていたし、まだ小さいうちに取ったから大丈夫。」

内田 「それ自分でしているの?!」

友人 「そうよ。乳がんってたまに男の人もなるらしいけど、女性ホルモンが関係する病気だから、普通は私達女がなる病気でしょ。子供を生まないとなりやすいみたいだし、20代でもなる人はなるから気をつけないと。ほら、乳がんになって花嫁になる映画があったでしょ」

内田 「”余命一ヶ月の花嫁”だよね!」

乳がんと女性ホルモンに関係があるなら、自分は常日頃その女性ホルモンを飲んでいる。自分も乳がんになるのだろうか。でも体はまだ完全に女にはなれていないから、大丈夫なのかもしれない。でも…。不安になってきた内田は仕事帰りに、豊胸手術を受けたクリニックを訪ねた。

イラスト

内田 「先生、私は女性ホルモンを飲んでいますが、残念だけれど…まだ男の体だから…乳がんならないですよね?」

<乳腺専門医師の説明>

  • 日本の乳がん患者は年々増え続け、今は年間4万人以上が乳がんになる
  • 女性が罹患(りかん)するがんの一位は乳がんで、死亡原因としても増えつつある。女性の20人に1人が罹患する。
  • 乳房の中には「乳腺」と呼ばれる腺組織があり、乳がんはこの乳腺を構成している乳管や組織から発生する。
  • 乳がんになりやすい人 →エストロゲンの長期並びに過剰状態を反映している。
    1. 妊娠、出産歴がない:母乳を与えない女性
    2. 月経が早く始まった
    3. 閉経が遅い
    4. ホルモン療法(エストロゲン製剤、ピルなど)を受けている

医師 「まれに男性も乳がんになります。その原因は色々と言われていますが、どれも決定打と言い切れるものでもありません。 一つ分かっているのは、女性ホルモンであるエストロゲンと、その影響を受ける乳腺が揃ったときに、乳がんのリスクが高くなるということです。 ということは、肉体的性別で分けると、セクシュアルマイノリティの中でもLGBTといわれるレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーでは、ゲイとバイセクシュアル男性を除いた全ての人が、誰でも乳がんになる可能性があるといえます

内田 「体の性別と心の性は違うんですよ、先生! 女で生まれて、男で生きている人とか。私はどうなんですか?」

医師 「乳がんになり易い人として考えると、セクシュアルマイノリティの殆どが当事者になりますが、場所が場所だけにその危険性は見過されやすいんですよ。では下の図をみてみましょうか」

L レズビアン(体は女性)G ゲイ(体は男性)
B バイセクシュアル男性/女性 (体はそれぞれ男性、女性)T トランスジェンダー(体は女性、男性)

「レズビアン、それにバイセクシュアルの女性は体が女性ですから、乳がんになる可能性があります。 トランスジェンダーの女性で生まれた人は、男性として生きていてもホルモン投与を受けていなければ、エストロゲンの分泌と影響を受ける乳腺があるので、やはり乳がんとなる可能性があります。 もちろん、内田さんのように男性で生まれていれば元々乳腺はありますし、女性ホルモンをの投与を長く受けていますから、乳がんになる可能性は元々女性で生まれた人と変わらないとも言えます。 また確実なことは言えませんが、今は男性として生活をしながらホルモン投与(飲み薬、注射、パッチなど)を受けていても、元々は女性として生きていた体へ男性ホルモンを投与するという、体に大きな負担を与えホルモンバランスを大きく崩すことになるので、こういった方も乳がんになる可能性がないとは言い切れません」

内田「元は男(小さな声で)でも…乳腺があって女性ホルモンを飲んでいるから、私もなるかもしれないんですね?!」

医師「そう。自分でチェックすることや、一般の女性が受けるような医師による検診も大切ですよ」

内田「でも…私は保険証出したくないし、私みたいな人を見てくれる病院なんかあるのかな…あ!」

医師「ええ。 私共では胸の手術に限らず、乳がんの検診もしています。一般の女性はもちろんですが、トランスジェンダーの女性、男性といった普通の病院ではわかりにくい事情がある方の胸もしっかり診させていただきます。 秘密は守られますし、専属の担当者が親身になって相談に乗ってくれますから、安心してください」

どこで検診を受けられるのだろう…?

ナグモクリニック

大阪院、名古屋院(GIDセンター併設)の両院で、乳がん検診を受けることができます。

バストの悩みを抱えている女性が多数来院していますし、FTMやMTFも多く訪れているので、スタッフさんも性別違和感をもつ当事者と接することが日常となっています。不安な方は、「関パレのピンクリボンキャンペーンを見ました」などと電話でお申し出ください。

→日本で唯一のバストクリニックであるナグモクリニックでは、豊胸術や乳房切除などの胸の手術によって性同一性障害の患者さんに貢献しています。その症例数は日本トップクラスです(HPより)

LGBTの私たち レッドリボンも一緒に生きている Living Together

関西レインボーパレードが開催される10月には、扇町公園(大阪市北区)をメイン会場として行われるPLuS+が開催されます。 HIVの予防啓発活動と陽性者への支援・共生をめざし、お祭りをきっかけにコミュニティネットワークを構築し、未来に向かってポジティブな何かを創造するイベントです。

地元大阪におけるHIV予防啓発活動や、HIVに関する色々な情報は、北区堂山にあるコミュニティスペースdista(ディスタ)で公開しています。 公式ホームページには、HIV予防啓発に関する情報が満載(HPはこちら)。

私たちは、ピンクリボン(乳がん予防啓発)とレッドリボン(HIV予防啓発)をいつも心に。自分の体を大事にしようね!